『全国賃貸住宅新聞』 2010.10.11 第946号
カーシェアリングサービス導入し付加価値高める
「プライムアセット」3LDK7棟を竣工
高塚文彦オーナー(埼玉県久喜市)は、この秋にJR久喜駅近くに7棟の戸建て賃貸を竣工させる。「プライムアセット久喜東2丁目」と言う名の木造2階建て3LDKの物件は、家賃14万5000円、敷金1ヶ月、礼金2ヶ月と周辺相場よりも強気な設定ながら、先行した2棟は完成前に入居が決まっているという。7棟全体で「古き良きアメリカ」をイメージしたというこの物件は、各戸外構などに特徴を持たせているほか、ペットと共生できる工夫を施しているのは、同じ敷地内に入居者向けの「カーシェアリングサービス」を導入していることにある。
物件自体には各戸に駐車場を設置しており、基本的には車を所有するファミリーが入居するが、「買い物や子供の送迎など、自分の車だけでは足りないというニーズは必ずあるはず」と高塚氏は期待を寄せる。また、入居者同士が乗り合わせるなどのコミュニケーション手段としても有効だ。
一般的にみれば、7棟限定でのカーシェアリングサービスは、採算ベースに乗るとは考えにくい。それでも導入したのは「周辺物件との差別化を図る事と、話題になればいい」(高塚氏)といった考えからだ。
同氏はすでにペット共生化賃貸マンションやガレージハウスなどコンセプト型の物件を近くに所有しており、今回の戸建て賃貸住宅も同様の流れにある。こうしたターゲットを絞った物件は、一度入居すれば長期間入居し続けるケースが多く、安定した収入が見込めるというメリットがある。
同氏によれば、いずれペット共生化住宅から戸建て賃貸に移り住んでもらえるのではと期待している。
今回の戸建て賃貸住宅は、外構など標準仕様にオリジナリティを加えているにもかかわらず、内装設備をリースにするなど初期投資を抑えた。
賃貸仲介・管理会社のネットワークを構築
「当社の商品を想像以上にうまく活用していただきました」。この物件を供給した桧家ランデックス(東京都台東区)の取締役日置文彦氏はこう話す。同社としても今回の物件は、従来の戸建て賃貸住宅商品の可能性を広げる意味で大きな意味を持っている。
同社の商品「プライムアセット」は、発売以来約3年間での受注実績は330棟を超える。耐震強度に定評のある木造軸組み金物工法を標準装備し、団塊ジュニアファミリーを入居者ターゲットにおいたデザイン性にも配慮しているのが特徴だ。標準仕様は延べ床面積66㎡、2棟一組1棟あたり812万円。
同社はこの1年間で東京50棟、名古屋で30棟の着工実績をもつなど、順調に推移している。今後も首都圏を中心に営業活動を進めていく計画だ。
その戦略の一つで同社が期待しているのが賃貸仲介・管理会社のネットワーク組織「プライムアセットパートナーズ」だ。これは同社が営業ツールを提供し、加盟店が地主に提供する。受注すれば手数料を支払う仕組み。これにより1年後には加盟店100社、100棟以上の受注を目指していきたいという。