『住宅新報』 2010.1.12 第3147号
エコポイント対応も
戸建て賃貸事業を手掛ける桧家ランデックス(東京都台東区)は、1月23、24日首都圏4カ所で現場見学会を同時開催する。2月にも5カ所で同様の見学会開催を予定しているほか、親会社の桧家住宅が埼玉県久喜市常設モデル棟を完工する。10月12月期には首都圏を中心に複数のモデル棟を建設する計画があるほか、住宅エコポイントに対応した商品の投入なども構想、売上高11億円、完工棟数100棟を見込んでいる。宗像傳社長に戦略を聞いた。(佐藤幹彦)
桧家ランデックス 宗像 傳社長に聞く
空室や滞納の増加、賃料下落など、賃貸住宅市場の厳しさが増す中で「戸建賃貸は一線を画している」と宗像社長。 オーナーの資産相談に当たる賃貸管理会社や税理士・会計士から「集合住宅は勧められないが、戸建賃貸なら」といった声が複数上がっているという。「まだまだ開拓の余地はある」と話す。
それを裏付けるように、建設中に入居者が決まるケースがほとんどで、人気は衰えを知らないという。東京都目黒区碑文谷で同社が手掛けた戸建賃貸商品の家賃は25万円、同様に神奈川県茅ケ崎の湘南・サザンビーチそばでは同18万円と周辺相場より2割程度高い家賃設定も検討しているが、宗像社長は「十分にいけると思う」と強気だ。
商品開発では桧家住宅に採用している水発泡断熱材[アクアフォーム」を採用した戸建て賃貸商品の投入も検討している。住宅エコポイントに対応した賃貸商品で差別化を図りたい考えだ。
「これからは賃貸商品でも質の高い建物を提供し、長く安定して住める家づくりを進めていく必要がある。画期的な商品になる」と宗像社長。課題はコストだが、「環境に貢献しようとする機運の高まりなど、世の中の追い風もあり、提案の工夫をすればいける」と自信を見せた。今期の戦略として、09年12月にモデル棟兼事務所として名古屋支店を移設したのをスタートに、展示棟棟展開を加速させる。「賃貸と言うと安くて粗末な住宅をイメージする人も多いため、原則としてモデル棟を見てもらうを必須条件にし、デザイン性などをアピールしてゆく」と宗像社長。加えてオーナーや入居者を支援する賃貸管理などソフト面の強化も急ぐ。
成田市では農園付 提案幅広げて差別化
更に、事業提案モデルのバリエーションも増やしてゆく方針で、農園付戸建賃貸の構想もある。今春にも着手する計画で、千葉県成田市の1240㎡の土地に、戸建賃貸及び分譲戸建て3棟と農園を整備する。土地オーナーは分譲用地売却で戸建賃貸を建設する為、借入金はない。提案幅の広がりを予感させる事業として、同社では期待を寄せている。
同社は、09年7月に桧家住宅の子会社になり、グループで連携した受注活動を強化している。宗像社長は「桧家住宅ちば」の社長も兼務しており、旧ランデックスと桧家住宅の人事交流を通じてグループの一体化を加速。桧家住宅が本社を置く埼玉県久喜市とのアクセスを良くするため、09年12月には本社を東京・上野に移転した。
宗像社長は「従来からあった商品力に加え、桧家住宅の営業力と信用力、広報宣伝力が加わった。社員も『安定して働ける』と意識も高まってきている」と話す。更に、「一次取得者層向けの営業体制を体系化する」として、桧家住宅では、桧家ランデックスの戸建て賃貸商品をコンパクトタイプの注文住宅として受注し、既存事業に上積みしゆく計画だ。