『読売新聞』 家計の知恵 2009.7.1 第47898号
まとまった資金がなくてもマイホーム気分を味わえる賃貸用の一戸建てが 増えている。運がよければ、新築の一戸建てだって借りることが可能だ。 賃貸アパートやマンションに加え、「借りて住む」選択の幅が増えてきた。 (経済部 一言剛之)
増える賃貸戸建
これまで、賃貸用の一戸建てといえば、転勤に伴い家主が借り手を募集している中古住宅などに限られていた。
ところが近年は、賃貸用の物件が増えている。 変化の背景には、土地を持つ人が、副収入を得るために賃貸専用の一戸建てを 建てる動きがじわじわと広がっていることがある。
「親から相続した一戸建てを 撤去して、小ぶりの住宅を2棟建て、1棟に自ら住んで、もう一棟を貸し出す人も いる」と、賃貸住宅専門会社のランデックス(東京都中央区)は説明する。同社は 2007年以来、約150棟の賃貸専門住宅を建てた。
確たる数字はないが、リクルートの「注文住宅」編集長の大江治利さんは 「賃貸戸建ては、2006年ごろから都心を中心に増えている」と話す。
メリットと注意点
賃貸戸建ては、上下階や隣室に騒音の気兼ねをする必要がなく、庭付きの住居に住めることなどが特徴だ。また、「車庫を利用してゴルフの練習スペースにしたり、 ガーデンニングを楽しんだりと、休日ライフを満喫したい人たちの人気を集めている」 (同西東京市の東栄住宅)という。
家賃面で有利な点もある。マンションと違い管理費をとられない場合が多い。また、駐車場付きの物件もあるため、車を持つ人にとっては、マンションよりも割安な場合もあるだろう。
大江さんは「戸建て賃貸」に住むなら、ごみ出し日の厳守や町内会付き合いなど、 地域た家主とのつながりもおろそかにはできない。
マンション住まいとは異なる生活スタイルが必要なことに注意して」とアドバイス している。