『全国賃貸住宅新聞』2008.4.28　第820号

トップインタビュー　新戦略を聞く

戸建賃貸住宅「プライムアセット」を手掛けるランデックス（本社・愛知県名古屋市）では、この春より本格的にFC事業に乗り出した。既に全国で10社以上が加盟するなど出足は好調だという。同社の工藤鉄太郎社長に現状と展望を聞いた。

昨夏から半年間で62棟の受注実績

――御社の戸建て賃貸住宅「プライムアセット」の受注が好調のようです。
工藤　昨年夏から本格的に開始しましたが、以来半年間で62棟の受注をいただいています。現在ホームページの資料請求も全国各地から届いており、戸建賃貸市場の拡大を大いに感じています。

――FC事業を本格的に開始しました。その皮切りとなる福岡のセミナーが好評だったようです。
工藤　3月に福岡・チサンホテル博多にて、住宅・建設会社・不動産会社向けに「プライムマネジメントシステム」加盟会社募集セミナーを開催しましたが、当初予定の30名の定員を超える56名が参加していただき、大きな反響がありました。

――開催地に福岡を選んだ理由は。
工藤　その地域にはこれまで特に広告宣伝活動をしていないにも関わらず、当社のホームページへの問合せが多数あったことと、潜在的な需要があると見込めたためでした。

――加盟している会社は現在のところどれぐらいですか。
工藤　今回の九州を含めるとすでに10社を超えています。また加盟準備中の会社もかなりありますので、FC展開に確かな手ごたえを感じています。

――受注された案件はどのようなケースがありますか。
工藤　首都圏エリアでは最寄駅からバスで20分の場所が多いですね。2世帯同居するために空き家になった土地を利用するパターンで、法人借り上げにして相場家賃より25％も上回った事例がある。戸建賃貸は立地条件を上回る訴求力があります。

加盟企業は10社以上に

――従来ならば賃貸アパートを建設していた広い土地でもあえて戸建賃貸を建築したケースもあるようです。
工藤　確かにその傾向もあります。当社が本拠を置く中部エリアでは、広い土地をいかした活用事例があり、5棟を建築した事例があります。これは、相続対策で建設され、車庫付住宅である点と共同住宅とは異なり分筆して相続が可能な点が評価されて契約に至りました。

――戸建賃貸市場は競合他社も増えてきていますが。
工藤　確かに近年多くの企業が参入してきている。しかしそこで勝ち残っていくところは限られてくるのではないでしょうか。勝ち残るためには、確かな商品力と提案力を併せ持たなくてはいけないと考えています。その点当社は、1棟当たりの本体工事費743万円という価格力と、オーナーに十分に納得していただける意匠性、独自の木造軸組金物工法であるプライムウッド工法と大手メーカー部材により、高い品質を保っている。これらを武器に競合には負けない提案ができると自負しています。

――今後の戸建賃貸市場の展望は。
工藤　少子高齢化等などを背景に、戸建住宅、マンションの供給が減少し、持家から賃貸への住替えが進むのではないかと考えています。既に親の世代が家を持っていることから買う必要のない世代が、相続時まで賃貸住宅に住むというパターンが目立ってくるでしょう。一方で格差社会も進み、家を買いたくても買えない層も増えてくるのではないでしょうか。これからを考えると、戸建賃貸住宅市場は建設業界に残された数少ない成長分野といっても過言ではないのではと思います。当社はその一翼を担っていきたいと考えています。